←memorandum / 坂

言葉にした瞬間に「なんだか違う」と自分の吐き出したものに疑問を感じることが増えた 相手の顔を見ると敏感にその違和感を感じ取っている そのあとは距離が測れなくなるので、一定の時間、行き場のない問いを呆然と眺める 

最近は、話したいことがあっても、すべてが蒸発している気がする 「今」感じとったものを「過去」で表現しようとするとたちまち齟齬が生じる(たとえば過去の状態で今を同じ様に描写されたならば苦しい) 一分一秒細胞は変わっていっていて、時間は詳細に進んでいて 時代の感覚は30年、今の数字的長さは0.3秒という話をした 言葉は過去になる 好きな食べ物も、興味のない食べ物も、把握しているのは実はうんと過去のことだった 

なにかとても大事なことを言った時、その内容を覚えていることは殆どない ただ目の前の相手が瞳を大きく見開いて絶句している そういう事実だけが残ってはじめて、私たちのあいだが大きく揺れた瞬間が有ったのだと知るだけ 
活字の記憶は滑り落ちていくが、辞書で調べた単語の危うさは頭から離れない 心がさまようと、何もかもに意味を見出そうとしてしまう でもこれは退屈しのぎなだけなのかなと思うこともある それでも記していくことにしたので、ここは今からそういう場になるんだと思います