彼は誰

7/11/2023 

あれは少し高い位置の花の先にとまり、可憐に蜜を吸っては舞う健気な薫りを漂わせる存在だと、人は勘違いしている。私の目の前にいる一羽の蝶は地べたを脚で一歩ずつ這っている。花もない場所で夢中になって向かっている。羽はぱた、ぱたと開閉する。読みかけの本が視界の手前ではためく。位置に身体を澄ませても、奥行きとは姿を捉われない。規則性のなかに曖昧さを差し込んで掴ませない。私はなにものなのかを知らない。きみの底をたたくと意外な音がすることを知らない。力を込めて土に差し込まれる胴部の先に命の続きがある

6/11/2023 

戸を明けると境界だった
彼は誰時の一瞬のまどろみが
美しさを捉えたいと
拾いにもどったら
その8秒で失った
自由なんてものは
教えられた

3/11/2023 日の欠片

25/10/2023 

真ん中がわかっているから、拡げることができるし傷つくこともできる
だから否定も肯定もする
自由を感じる瞬間は、深く潜ったあとの息継ぎと似ている
いつでも自分のなかに呼吸を送ることができることを知って
生と死が同居していることに最大の安心を得る
あとは何もいらない

10/10/2023 わからないことのなかで生きる